第15章 break
『……』
「あったのか」
夜一は再び聞いてきた
『…唯一…先が見えない…分岐があったわ…』
「「!!」」
喜助と夜一が同時に驚いていた
『でも…それは…』
「鍵は…一護か」
『……ええ』
「その分岐の内容は…言えないんじゃな」
『言えないわ…それが神無月との約束だから…』
「…そうか。なら、おぬしはその分岐に向かって進め。それまで儂と喜助は霊王について詳しく調べる。そして…おぬしのために動こう。
おぬしは望んでいいんじゃ、自分自身の幸せを…おぬしの未来を…」
そう言って夜一が私の頭を撫でた
『……っ……あ…あり…がと…』
涙がポロポロとこぼれ落ちる
それと同時に喜助にかけた術が解けた
「蝶サン、負けないでください。アタシにいい人を見つけろって言うのなら…それは蝶サンが平子サンに想いを伝えなければ…不公平でしょう?
なのに、霊王様になっちゃって、告白できないなんて言われたら、アタシが損しちゃいますしね。」
『何が…不公平よ……』
「ほれ、今のうちに好きなだけ泣け。」
そう言って夜一が私を抱きしめてくれた
『ありがとう…夜一…』
「さぁて、忙しくなりますよ。蝶サン、注文があればいつでも言ってくださいね」
『ありがとう、喜助』
それから、一ヶ月後…
『一護!織姫、チャドくん!あ、あと石田くん!待ってたよ!』
「なんで僕はついでなんだ!」
『まあ、いいじゃない。それよりほら、みんな待ってるわよ』
私は四人を十番隊隊舎へと案内する
「うわぁあ〜」
織姫が目を輝かせながら中へ入っていく
「すげぇな…」
一護もとても驚いているようだ
「…厶…」
チャドくんも少し驚いているらしい
石田くんはメガネをクイッとしていた
『さ、みんな…今日は好きに騒ぎましょう!』
私の合図と同時に花火が打ち上げられた
そう、今日は一護が死神でいられる最後の日
隊長、副隊長、そして一護をよく知る者達が集められた宴会だ
冬獅郎に無理を言い、隊舎の庭を借りた
そこにご馳走を並べ、空鶴に花火の打ち上げの依頼もした
一護の思い出になりますように…