第15章 break
『元々、霊王様には言われてたんだけどね…次の霊王を…って…』
「おぬしが見た未来では何が起こっておるんじゃ…」
私は黙って首を振る
『ごめんなさい、それは言えない。…それに、私もそこまで詳しく見ることが出来てないから…』
私が見れるのは…私の未来だけ
その時何が起こっているのかまでは見れなかった
「そうか…」
「そうだったんスね…」
『ただ、確実なのは…私が霊王に即位するということ…
霊王になれば…私はもう、瀞霊廷や現世の…みんなに会うこともできない…』
「…それで、代わりがおらんか探しとったのか?」
『……最初は探してたんだけど…私以外…いないってことに気付いちゃって…
身代わりを探すなんて最低だなって…自己嫌悪に陥って…』
「蝶サン…」
『…みんなを守るには…私が霊王になるのが早いって気付いた……だからね、少しでも…こっちで思い出を作りたくて…
私が…私でいられる間に……』
「…蝶…」
『ごめんね?しんみりさせちゃって。この話はお終い!まだ先の事だし、沢山考える時間もある。それまでにたっっくさん思い出作るわ!
それに、私ももう千年以上生きてるし、後悔はないと思うから』
「なら、どうしてそんなに無理して笑ってるんスか」
『無理してないわ…』
「してるじゃないっスか。また"彼"の時のように後悔する気っスか」
『!!…喜助、それ以上言ったら怒るわよ…』
「後悔の種類は違うかもしれませんが…でも、アナタが…『黙りなさい…っ、浦原喜助』」
私は神無月の能力を使う
「っ……こういう時だけ…ずるいっスね」
『私は…後悔なんてしない。だから…』
「自分の未来を諦める気か」
夜一がそう言った
『!!諦めてなんか…』
「おぬしの悪い癖じゃ。自分のことは後回しに…そして他人を優先する。
それでおぬしは何度死にかけた」
『そんな話、今は関係ないでしょう』
「自分の未来を諦めて、周りが…儂らが生きる未来を選んだのじゃろう。
違うか、蝶。
未来を見たと言ったな。それに何パターンも…その中で、おぬしにとって良い未来はあったのか」