第11章 abduction
「…そろそろ、蝶サンも出てきたらどうっスか?」
『…そうね』
「蝶…!」
『たつき…水色…啓吾…黙ってて…ごめんね』
たつきが泣きそうな顔をしていた
『たつき、織姫は必ず助けるから…だから…』
「…頼んだよ…あの子のこと…」
たつきがそう言った
『もちろん』
私は羽織を脱ぐ
『喜助、これ預かっといて』
私は喜助に羽織を渡す
そして霊圧を遮断する外套を羽織った
「このまま、行ってもらっても大丈夫っスよ」
黒腔を開いたままにしていた喜助がそう言った
『ありがとう、喜助。行ってくる』
一護たちが出発してから数分後…私は虚圏へと出発した
黒腔の中を移動するには霊子で足場を作るしかない
足元に少しだけ霊力を込める
パッと足元に綺麗な蓮の花が現る
私はそれに乗りゆっくりと黒腔を進んだ
黒腔を通る時、目の前には一護たちが作ったのであろう足場が少しだけ残っていた
『…大雑把ね』
残っていた欠片は私が触るとすぐに砕けた
だんだん目の前が暗くなってきた
出口が近いようだ
このまま行けば、一護たちと同じ位置に降りるわね
同じ位置でもいいけど、動きにくくなるのは嫌だし…
そう思い神無月に座標を変えてもらった
それと同時に私は虚圏に入った
『相変わらず、周りは砂ばっかり…』
辺り一面に広がる白い砂と黒い空
風が吹く度に砂が舞う
『さて、神無月…織姫の位置を教えて』
私がそう言うと色んな種類の花弁が舞いだした
その花弁が道を作る
『こっちね』
私は道を辿りながら白い大きな建物の中に入った
『……ギン…』
私が建物に入ってすぐの事だった
まるでわかっていたかのように目の前に立っていたのはギンだった
「なんで来たん」
『織姫を助けるためよ』
「あの子にそないな価値無いやろ。」
『助けるって約束しちゃったからね。約束は守らないと』
私がそう言うとギンが不思議そうな顔をしていた
「蝶が助ける必要あるん?旅禍の子らも乗り込んできとるのは知っとるんやろ」
『知ってるわよ。知ってて来たのよ』
「ほんま自分、アホやなあ」