第11章 abduction
「蝶…」
『ごめんなさい……もっと私が…』
「自分を責めんな。」
そう言って恋次が私の肩に手を置いた
『恋次…』
「お前が護衛についてなきゃ、井上織姫は死んでたかもしれねえ。でもオマエがいたから…殺されずに済んだのかもしれねえだろ。」
恋次が一歩前に出る
「…お話はわかりました、山本総隊長。それではこれより、日番谷先遣隊が一、六番隊副隊長 阿散井恋次、反逆の徒 井上織姫の目を覚まさせる為、虚圏へ向います!」
「恋次…!」
一護が恋次を見る
「ならぬ」
恋次の申し出を元柳斎はばっさりと拒否した
「破面側の準備が整っておると判断した以上、日番谷先遣隊は全名即時帰還し、尸魂界の守護についてもらう。」
「それは井上を…見捨てろと言うことですか…」
ルキアが元柳斎にそう尋ねた
「如何にも。一人の命と世界の全て、秤に掛ける迄も無い。」
「恐れながら総隊長殿…その命令には……従いかねます…」
「…やはりな。手を打っておいてよかった」
ルキアの言葉を聞いた元柳斎がそう言った時だった
目の前に穿界門が開く
穿界門に立っていたのは朽木白哉、更木剣八だった
「…そういう訳だ。戻れお前ら」
「手向かうな。力尽くでも連れ戻せと命を受けている。」
剣八と白哉の言葉を聞いた日番谷先遣隊のメンバーは黙り込んでいた
「尸魂界に力を貸してくれとは言わねえ…せめて…虚圏への入り方を教えてくれ。井上は俺達の仲間だ。俺が一人で助けに行く。」
『一護…』
「ならぬ。おぬしの力はこの戦いに必要じゃ。勝手な行動も、犬死も許さぬ。命あるまで待機せよ。水無月蝶に関しても同様じゃ。」
帰還はさせないけど…虚圏には行くなってことね…
元柳斎が通信を切る
それと同時に先遣隊のメンバーが尸魂界へと帰還して行った
「…一護……済まぬ」
ルキアはそう言って帰ってしまった
「オマエを責めはしねえ…」
一護がポツリと呟いた
『一護…』
「井上が生きてるなら…助けに行くだけだ……。なあ、蝶。虚圏への行き方…知ってるよな?」
一護が私の肩を掴む
「頼む…俺は井上を…助けたい」
一護の絞り出したような声に泣きそうになる
『ごめんなさい…』