第11章 abduction
織姫の家に戻ると一護と冬獅郎以外が揃っていた
『みんな早かったのね…』
「蝶…」
ルキアが私を心配そうに見ていた
『大丈夫よルキア…』
「だが…」
『大丈夫…』
それから少しして一護と冬獅郎が到着した
「…一護…」
「…ルキア」
「霊波障害除去は?」
冬獅郎が乱菊にそう尋ねた
「完了した様です」
乱菊がそう答える
「繋いでくれ。」
目の前のモニターに浮竹が映った
「!?浮竹…?総隊長じゃねえのか…?」
冬獅郎が驚いていた
「代わって頂いた。」
「理由は?」
「井上織姫が現世に向かう穿界門に入る時、最後に見届けたのが俺だからだ」
全員が驚く
浮竹のその言葉に私は身を切られるような感覚がした
『……』
「…その反応を見ると、やはり彼女はそちらには到着していないようだな」
「…どういうことだよ、浮竹さん…井上は…どこに消えたんだ…尸魂界で何か解ってんじゃねえのか…!?」
一護がそう言った
「…こちらの見解を言おう。…穿界門通過の際に彼女の護衛に着いたのはそこにいる…水無月さんだ」
浮竹の言葉に全員が私を見る
『…井上織姫は…破面側に…拉致、もしくは…既に殺害されたものと思われるわ…』
「蝶!!」
ルキアが私の胸ぐらを掴む
『ごめんなさい…ルキア…』
「…っ…」
ルキアが私から手を離した
「ふざけんな!!!証拠も無えのに死んだだと!?勝手なこと言ってんじゃねえ!!」
一護はそう言って自分の腕を見せる
どうやら、現世側にいる誰もが治せなかった傷が、朝起きたら跡形もなく治っていたらしい
「…そうか、それは残念じゃ」
浮竹の後ろから元柳斎が出てくる
『元柳斎…』
「…残念…?どういう意味だよ…!?」
「確かにお主の話通りなら、井上織姫は生きておることになる。しかしそれは同時に、一つの裏切りをも意味しておる。
もし、拉致をされたなら…去り際におぬしに会う余裕などあるまい。即ち、お主の傷を治して消えたということは、井上織姫は自らの足で…破面の元へ向かったということじゃ。」
違う…違うの…
『私が…守りきれなかったから…』