第11章 abduction
地下修行場から出て浦原商店の屋根に立った
『…もう朝なのね…』
空を見ると日が昇り始めていた
織姫の霊圧を探す
織姫はどこにもいない
「蝶!」
『?あ、乱菊…?』
後ろを振り返るとそこに乱菊が立っていた
「どうしたのよ、ぼーっとして」
『何でもない…それより、乱菊こそどうしたの?』
「総隊長がお呼びよ…」
そう言った乱菊は落ち込んでいるように見えた
『乱菊?』
「昨日の破面の襲撃のあとね…織姫の家に戻ったら、手紙があったのよ」
『手紙…?』
「書いてることは他愛ない内容なんだけどね…織姫が帰って来ないのよ」
乱菊の悲しそうな声にまた泣きそうになる
『…ごめん…私の力不足で…』
「あんたは悪くないじゃない。誰もあんたの事は責めないし…それに、織姫を守れなかったのは私たちの責任でもあるでしょう?」
『乱菊…』
「だから、そんなに悲しそうな顔をしないで。さ、行きましょ?」
乱菊にそう言われ、私は織姫の家へ向かった
『昨日…報告した通りよ。気付いた時には織姫は…』
私は元柳斎に昨日の報告の通り説明をする
モニターに写る元柳斎の機嫌は良くなさそうだ
「そうか…。お主が気付かぬ程相手が強いとなると…厄介じゃな」
『そうね…』
「少し、浮竹と話をしてこようかの。また後ほど現世にいる先遣隊と黒崎一護を集めてから連絡をしてもらえんか」
「分かりました」
そう言ったのは冬獅郎だった
一旦、元柳斎との通信を終え、冬獅郎と乱菊が先遣隊と一護を迎えに行く
私は恋次を呼びに浦原商店に戻って来ていた
『恋次』
修行中の恋次に声をかける
「うお?!蝶かよ、どうした?」
織姫が居なくなったことに関しては耳にしてるはず…
『昨日の話は軽く聞こえてたでしょう?緊急事態よ…今すぐ織姫の家に行くわよ。』
「…そうか。おーい、浦原さん!」
「聞こえてますよ。また後で詳しく聞かせていただけますか。」
『もちろん。後で話しに来るわ…』
「お願いします」
喜助を見るとさっきの光景が目に浮かぶ為、目を合わせられなかった
私は恋次とともに浦原商店を後にした