第11章 abduction
《紅弁慶の花言葉は…》
『あなたを守る…』
でも、私にはそんなことを言う資格はない
《大丈夫…。きっと蝶なら…》
『うん…。絶対…助けるからね。織姫』
私は地下修行場へと降りる
「あれ、蝶サン…?」
恋次と茶渡くんの修行を見ていた喜助が私に気付いた
『ただいま、喜助』
「なんで、泣いてるんスか」
『え?泣いてな…「泣いたでしょう。顔に泣いた跡がある…」』
『…喜助は騙されてくれないなあ…』
これでも神無月に跡を消してもらったのに
「何があったんスか?」
『…実はね…』
私は恋次達には聞こえないように穿界門での出来事を話した
そして、尸魂界には織姫が姿を消したと報告をしたことも
『…私、また…何も守れなかった…』
また涙が溢れる
「蝶サン…」
『…助けるから…って…言ったけど……』
「大丈夫…アナタなら…きっと…」
喜助が私を抱きしめ、背中をさすってくれた
『っ…できるか…な…』
「できますよ…。なんて言ったって、元総隊長っスよ?実力は折り紙付きだ。」
『…でも…現に…織姫は……破面側に…』
「助けるって約束したんでしょう?それに…黒崎サン達もきっと動く」
『…一護は…迷わず動くよ……でも…私は…』
「でも、じゃないっスよ。アタシらも平子サンや…護廷十三隊の人達だっている…必ず井上サンも助け出せます」
『っ…うん…』
それからしばらく私は泣き続けた
その間もずっと喜助は背中をさすってくれていた
『…喜助、ありがとう』
「どういたしまして♪」
『それと…黒腔って…』
「大丈夫っスよ。黒崎サン達が来る頃には用意できますから」
『何から何までありがとう、喜助』
「いいんスよ♪」
『また今度…戦いが終わったらお礼しなくちゃね』
私がそう言った時だった
「じゃ、今貰っときましょうか♪」
『へ?…っ…ん?』
唇に触れる柔らかい感触…
これはアレだ…キスというやつだ…
『…っ…////…バカ!!』
きっと顔は真っ赤だろう
耳まで熱いもん
「戦いが終わったら…アタシの話、聞いてくれますか?」
いつになく真剣な顔をした喜助
『…聞くわ…よ。』
…喜助の顔をまともに見れない…
「それはよかったっス。」
そう言った喜助はにっこりと笑っていた