第11章 abduction
破面が帰ったのを確認し、私は蝶ちゃんの治療をする
「ごめんね…蝶ちゃん…」
涙が溢れる
私のせいで…こんなに怪我させちゃった…
『…泣かないで…織姫…』
「蝶ちゃん…!」
『ごめんね…守れなくて…』
「ううん…、私こそ…守られてばっかりで…」
『……破面は?』
「あ、帰ったよ…何か、人違いだったみたい…!」
バレちゃ駄目だ。
本当は全部言ってしまいたい
でも、そんなこと出来ない…
『…織姫…?』
「蝶ちゃん……っ…」
涙が溢れる
『織姫…?どうしたのよ…』
そう言った蝶ちゃんが私の腕に通されたブレスレットを見る
『これ…』
「あ、これね…現世で可愛いから買ったの!」
嘘をつく
急に手を握られた
『本当に…ごめんなさい…織姫…』
「!…蝶ちゃん…?」
『言わなくても…大丈夫…私が守れたら…こんな事に…ならなかったのに…』
「ううん…そんな事ない。蝶ちゃんがいなかったら…きっと私は死んでた」
『織姫…必ず…助けるから……それまで…待ってて…』
そう言って蝶ちゃんは泣いていた
「…っ…!うん…っ!待ってる…!!」
『そうだ…神無月…』
蝶ちゃんがそう言うと一輪の花が咲いた
「これって…」
『紅弁慶って言うの…確か、カランコエとも言うんだったかな…』
目の前に咲く白いカランコエが形を変える
「綺麗…」
カランコエはネックレスに変わった
『これを、肌身離さず…付けておいて』
「うん…、ありがとう…蝶ちゃん」
私は蝶ちゃんの治療を終えた
『ありがとう、織姫』
蝶ちゃんと手を繋ぎ、穿界門を抜ける
二人で私の家へ向かった
蝶ちゃんは霊圧を遮断できる外套を羽織っていた
『織姫…どうか無事で…。必ず…助けるから』
「うん…!」
私は蝶ちゃんを見送った
それから、乱菊さんに手紙を書く
手紙を書いたあとに向かうのは…黒崎くんの家だ
「よい…しょっ……と」
ブレスレットのおかげで本当に壁を透過することが出来た私は黒崎くんの部屋に忍び込んだ