第10章 preparedness
「「えっ?」」
リサと羅武が同時に反応する
「本当かどうかは知らないけどね」
楼十郎がそう言った
「なんや、知らんのかいな」
「ま、いても不思議じゃねえけどな」
三人はうんうんと頷いていた
『織姫!』
私は織姫に駆け寄る
「蝶ちゃん!」
織姫の声は明るいものの、顔には泣いた跡が見えた
『織姫、鉢玄が用事があるみたいでね、ひよ里に連れて来てもらったんだけど…』
「そうなの?」
『うん。ちょっと待ってね』
私は鉢玄を呼んだ
「ハッチこと、有昭田鉢玄と申しマス」
鉢玄が織姫に挨拶をする
「…よ…よろしくデス…」
『こうして見ると、巨人族と人間のような構図ね』
鉢玄はとても大きい
織姫がとても小さく見えた
鉢玄が織姫のことを見ながら唸っていた
「あ…あの…用事って何です……あいたたたたた!!!とれるとれる、頭とれちゃう!!」
織姫の頭をガシッと掴み、鉢玄はヘアピンを見ていた
「フムウ…やはり…!
このヘアピンがアナタの能力の本体…斬魄刀のようなものという訳デスね…!実に珍しい…!しかし、欠けている…先程アナタがここへ来た時から気になっていたのデス。」
「…はい…治せないんです…バラバラになっ…「ワタシが治しまショウカ?」」
鉢玄が食い気味にそう言った
「ほ…ほんとですかっ!?」
「もちロン!」
「や…やったあ!ありがとうございます!!」
「イエイエ、ウフフフフフフフ」
そんな会話をしている間も鉢玄は織姫の頭を掴んだままだった
『早く手を放してあげて…』
織姫の首が折れちゃう…
それから、織姫が喜助に言われた事…今回の戦線から外れろと言われたこと、足手纏いと言われたことを鉢玄に説明していた
が、鉢玄は人の話を聞かないのだろうか…織姫は同じ説明を五回もしていた
織姫は説明することを諦めていた
「…しかし妙デスね…霊圧を見る限りアナタはワタシととても近い能力を持っているハズ…だとしたら砕けた欠片などなくても…元の姿に復元できる筈デス…」
鉢玄がそう言うと同時に織姫のヘアピンの修復が終わった
織姫は喜びのあまり椿鬼を抱きしめていた
「ありがとう、ハッチさん!!」
「織姫サン、ワタシは今、椿鬼クンを治しマシタ。これで確かにアナタは戦線に復帰できるでショウ」