第10章 オマケのオハナシ
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気のせいだろうか
なんか……ヤケに視線を感じるっつーか
もうじき冬休みに突入する、いつもと変わらない朝
制服にダッフルコートを着て、鼻を啜りながら歩いてると
側を歩いてた女子が、俺を見て……コソコソ話をした
気のせいだ
自意識過剰過ぎんだろ
そう、思ってたけど
教室に入った途端に、女子に囲まれて、
唖然とした
「二宮くん!これ見たよー!
可愛い~」
「いつからモデルしてるの?
びっくりしたよ~」
開かれた雑誌のページ
聞いたことあるブランドの、宣伝広告
緊張した面持ちの、おめかしした男は
見覚えあるもなにも
"あの日の俺"だった
見合いをぶち壊そうと、
タイミングを窺って、
緊張しまくってる瞬間
そんな自分の、思いきり素の顔に
羞恥心が沸き上がる
全身から汗が吹き出て、顔まで熱い
「な、なんだよ!?
コレ」
もちろん、綾子さんの仕業だとは思ったけど、
とりあえずオレは、
それを掴んで保健室に向かった
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