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【M×N】インターホンはお静かに

第8章 愛のことば


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「怒んなって」



はだけたシャツを手繰り寄せ、
バスルームに向かう俺を、追いかけてくるセンセ


ニヤニヤしちゃって、反省なんかしてないし!



「身体痛いしっ、寒いしっ」

「"欲しい"っつったじゃん」


「……」



脱衣所に足を踏み込むと、
続いて入ろうとするセンセを阻止して、


ドアを閉めた




「ちょ!なにすんだよっ」

「ひとりで入りますから!」

「はぁ!?」




シャツを床に落とすと、
晒された肌が、鏡に写る



「なにしてくれちゃってんだよ……」



朱い痕が、
白い肌に点々と散らばって


誰がどう見たって、

"情事の痕"だ




「開けろよ~

"カズくんの"で、手ぇベタベタなんですけど」

「……」




仕方なく、鍵を開けると
直ぐにドアは開かれ、身体を滑り込ませてきた


鏡越しに、俺の身体を見たセンセは、ニヤリとほくそ笑む




「アンタ、頭オカシイでしょ」

「なぁにが?」



くくっと笑いながら、
自分も服を脱ぎ始めて

細いけど、均整のとれた綺麗な上半身が露になる。



悔しいけど、
やっぱ、ドキッとするし


カッコいいと思う


絶対、言わないけどさ




湯船に浸かって

シャワーを浴びてるセンセを見上げてる時も、

おんなじことをやっぱり思う




なんで…俺なんだろ


どんな女でも、男でもさ?



「カズ、見とれてんの?」


キュッと、シャワーコックを捻り



意地悪に俺を見下ろす


滴の落ちる前髪をかき上げ、ヨイショと俺の向かい側に座って



「見とれてねーし」

「ふーん。そ?」




両手で掬ったお湯で、
バシャバシャと顔を洗う


掌で顔を拭って、前を見ると



「なっ…」



センセが、じっと俺を見ていて

思わず目を逸らした



「なんなの…?」

「普通に、思ったんだよ。

お前ってさ?犬っぽいなって」

「いぬ…?」

「仕草?雰囲気?」

「あーそー」



適当に受け流しながら、
内心、ちょっとだけ複雑で


見とれてた俺とセンセじゃ、雲泥の差ってワケね


イヌってなんだよ



「首輪付けて、
飼いたいって?」



皮肉を込めて吐いたセリフに、



「それいいな」



センセの声が、
ワントーン上がった




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