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【M×N】インターホンはお静かに

第7章 単純で曖昧で


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"そうなんです"

"まぁ!そんな!?"

"だからどうしてもお願いしたくて"






「ん…?」





やたら響く楽しげな会話と笑い声


のろのろと布団から這い出て、階段を降りると


声のする居間のドアを開けた






「あら、おはよう」

「なっ!?」






母さんと仲良くコタツに入ってんのは、姉ちゃんじゃない





「なんで!?アンタがっ」

「カズ!他所様にアンタなんて言わないの!」


「あ、いいんですよ。

お母さん」

「ちょっ!なんなんだよ!?」






寝起きの頭も一気に覚めて、

自分で叫んどいて、ゴホゴホと咳き込んだ






「カズ、どうして話してくれなかったのよ?

いいお話じゃない」

「へ…?」

「こんな機会なかなかないんだから!ね?」

「ちょっ…、話がみえねーって…」





頭をぼりぼり掻きながら、
にこにこ笑う母さんと彼女を順に見下ろして……





「ウチの扱ってる雑誌のモデルに是非。

イメージにピッタリなんです」

「モデル!?ナンだよ!聞いてねぇよ」

「……なかなか頷いてくれなくて。

お母さんからも言って貰えませんか?」

「カズ!せっかくなんだから!記念にやってみなさいよ」





引き出しから財布を出すと


嬉しそうに5000円札を差し出した




「ほら!おこづかい!

母さんも見たい!カズの晴れ姿」

「晴れ姿…って」





ちらりと視線を送った綾子さんは、何を企んでんのか、嫌な予感しかないけど



あの話と繋がってる事だけはわかる


それに……、母さんのこの顔さ


俺がコノヒトにどれだけ弱いか。それさえ、彼女にはお見通しだったっての…?








30分後には



寝癖頭に、色褪せたスウェット姿だった俺は



どこぞのお坊ちゃんかと見間違うような


七五三ファッションに変身させられていた






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