第7章 単純で曖昧で
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「二宮!あの美人と付き合ってンの?」
「ってか、あの後さ!」
ニヤニヤと鼻の下を伸ばし、
考えてる事なんか、
声に出さなくても、直ぐにわかる
「……付き合ってはないよ」
「ナンだよ~?じゃ、どういう…」
わざとらしく思わせぶりな笑顔を見せると
スゲー、なんて勝手に盛り上がって
教室の片隅
あの一件から、男子には変に一目置かれちゃうし
女子には避けられてる
「でもさ~、二宮。
前に松本と噂になったじゃん?
あれ、ウケるよな~」
深い意味なんてない
ただ、何となくで放たれたセリフ
笑って…誤魔化したらいいだけ
なのに
自然と溢れた
否定なんか、したくなかった
「付き合ってたよ?
センセとは」
笑ってたみんなが
ピタリと動きを止め、
真面目な顔した俺を見つめた
「ナンだよソレ?
つまんねー」
はははと流されるように笑われて
それを、他人事みたいに眺めてた
俺とセンセってさ
冗談にもならないんだね
それだけ、
普通じゃ有り得ない関係なんだ
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