• テキストサイズ

【M×N】インターホンはお静かに

第5章 イロナキセカイ


.





あたりまえの毎日に戻るだけだ



学校行って、勉強して

部活行って、汗かいて



考えないでいいように、

珍しく、クラスメートの誘いに、のったりなんかして……







「じゃあさ、今度カラオケ行く?」




女子も交えたグループに、

"いいよ"と頷くと、やたら驚かれて、思わず苦笑いした




「なんか…、意外!
二宮くんて人当たりいいわりに、距離感あるから~」

「そう?

基本、ネクラだからね(笑)
こんなんで良かったら、誘ってくれる?」




ニコッと笑顔を浮かべると、変にきゃあきゃあ騒がれて戸惑う




これが普通、なんだろね


うん

きっと、そう









「先生、さよーなら」

「お~、さよなら」






俺の前を歩いてた女子の声


それに応えたセンセの声







近付く姿を、しっかりと視界に捉え


緊張や戸惑いを気付かれないよう、背筋を伸ばした




窓辺から射し込む陽が、センセを包んで


柔らかい空気が、ちょっと切ない








「先生……さよなら」






真顔が、少しだけ崩れ


優しい笑顔が返ってくる






ペコリと頭を下げて、そのまま1歩踏み出す







先生と生徒




正しい関係に戻るだけ






ガキの世話なんてさ


センセは苦しかったんだろ?







すれ違い様に



薬品とコーヒーのニオイがした




しばらくは、消えないだろうけど


努力してみるよ







冬を越して、春が来る頃には




お互い、笑えてるといいな







センセ、バイバイ




そろそろ




解放してやるよ







.
/ 76ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp