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【M×N】インターホンはお静かに

第4章 冷たい頬


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ホームルームも終わって、

帰り支度も早々に、部活に行こうとしたタイミングだった






流れた校内アナウンスに、身体が緊張する


ぐるぐる思考を巡らせながら、どう判断したらいいのか、答えなんか出なくて



教室を離れ、廊下を進みながらも


結局、平行線を辿るだけだと


逆に、ますます顔を合わせられなくなるからと





殆ど、ノックなんかしたことないドアを、2回叩いた



センセの声に、小さく深呼吸して、ゆっくりドアを開く








窓際に立ってた白衣姿のセンセが、"座れよ"といつもの定位置を、顎で促した









くるりと回転させた椅子で、センセに背中を向け


グラウンドを眺めてた



野球部の練習が始まっている






わざとらしいため息にも、センセは動じない



当たり前に、入れたてのコーヒーを差し出した






「まぁ…、飲めよ」

「……」





躊躇いながらも、カップに口をつける


酷く、懐かしい気がした



そんなわけもないのに








「まだ、怒ってんのか」


「……」




"まだ?"……って、ナンだよ


わかって貰えない苛立ちと、素直に表現出来ないもどかしさ


溢れるのは、頑なな部分ばかり






「まさか、用ってそれ?

ココがドコだかわかってんの?(笑)」




呼ばれた理由なんか、わかってたクセに




「立場利用すんのって、どうなの?」




自分が、センセを避けたのは、紛れもない事実なのに





「練習、始まってんだけど」





センセが、仲直りのタイミングを作ってんの、気付いてるクセに





「とにかく、こんなとこで誰かに聞かれたらどうすんだよ?

困るのはセンセでしょ」





図星だろ

わかってんだ



大人だからって、余裕ある態度で、


わざと、隙を作ってさ


ノコノコ現れた俺が、素直に応じるとでも思ったの





「帰る…」





傍らに置いた鞄を掴み、

勢いよく立ち上がる





「ちょっ、待てよ」





俺の手首を掴もうとしたセンセの掌を払うと


その拍子に、


コーヒーの入ったカップが床に落ち、


音を立てた







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