第4章 冷たい頬
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「おはよう」
振り返らなくたってわかる
家を出る前から、勝手に繰り返したシミュレーション
いつも通りに
普通にさ
応えたらいいだけ
「おはよ……ございます」
チラッと目線を上げると、
センセの笑顔が、そこにはあって
途端に頭に並べてた事が、真っ白になってしまう
昨日の出来事が
……一気にフラッシュバックした
「……」
「……どうした?
顔色悪くないか?」
俺の肩に伸びたセンセの掌に、
思わずビクッと、身体を縮ませてしまう
「……大丈夫、だからっ」
逃げるように、足早に廊下を進み、
教室に逃げるように飛び込む
席に着いて顔を伏せたまま、
鳴り止まない鼓動を、必死に押さえてる
後悔
罪悪感
……俺が拒否した時のセンセ
すげー傷付いた顔してた
もしも、
昨日のこと知ったらさ……?
きっと、もっと……
今さら後悔したって遅い
流された、なんて
そんな言い訳する気なんかない
あの時、逃げようと思えば逃げれてた
俺は、
自分の意思で、受け入れたんだ
ただ、
センセの事を
試したいだけの理由で……
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