第3章 秘密
「ねぇ?今、
誰といると思う?
可愛いの。
ハマっちゃうかも、私」
「……ちょ、
なにして……っ」
服を正しながら、
同じ様に、乱れた髪や服を直す彼女に背中を向けた途端、
いきなり聞こえてきた声に、反射的に声が出た
気怠い身体と
籠った熱が、急速に冷める
「代わりましょうか……?」
ふふっ、と愉しげに、
悪戯な笑みを向けられ、
取り繕う……つもりもないけど……
このタイミングで、センセと話なんか出来ない
「……っ」
差し出された携帯に、
恐る恐る、手を伸ばした途端、
「ぷっ、
やだ、ホント可愛い」
吹き出した彼女が、
可笑しそうに話し出した
「冗談よぉ。
ほら?」
見せられたディスプレイは、トップ画面を表示したまま、
誰かと通話してる形跡なんてない
「演技してみただけ。
びっくりした?」
「……」
「もう。そんなに落ち込まないの~
気持ち良かったんならいいじゃない」
「……落ち込んでなんかねーよ。別に」
「あら、そ?」
フイッと視線を逸らし、
人通りのない、夜の景色をぼんやり眺めた
少しだけ開けた窓からは、
寒いくらいの空気が流れてくる
「セックスくらい、
"センセ"には関係ないわよね?」
「……そうだよ」
その通りだよ
"センセ"には関係ない