第3章 秘密
アルコールの量を増やし、酔えれば幾らかマシだと思うのに、
苛立った感情は治まることがない
何度も掛け直す番号は、
決まった機械音を繰り返すばかりで、
結局……繋がらない
"ナンだよ。しつこいな~"
なんて、生意気に電話出たらいいじゃん
無視、とかさ
そういうのが、イチバン堪えんだよ
そんなに
……傷付けた?追い込んだ?
会いたいって気持ちを打ち消すくらいに?
暗くなったディスプレイを伏せ、
グラスを持ち直した途端
そのタイミングで携帯が鳴り出す
慌ててそれを手に取った
だけど……それは
待ち人ではなくて……
躊躇いながらも、
数秒考え、指を滑らせた
「……もしもし」
"潤?"
「なんか用?」
"なに、冷たいわね。
せっかく電話してあげてるのに"
人の感情なんてお構いなし
不躾な態度の相手に、ますます苛つく
"俺、忙しいから"
そう言い放って、切ろうとした瞬間
不可解な言葉に、
耳を疑った