第3章 秘密
「ちょっ、やめっ…」
「いいから脱いで。
思った通り!イイじゃない」
連れてかれたのは、予想外の場所
路駐した車から、降りるように促され
仕方なく後を追い掛ける
知ってても、足を踏み入れた事はないブランドショップ
常連らしく、慣れた様子で店員に話し掛けて
俺を見ながら、なんか言ってる
何なんだよ、一体
わけわからない状況に、不愉快になりながら
着いてきた事に後悔し始めていた
どう考えたって、不自然だよな
警戒心丸出しの俺と裏腹に、笑顔を見せる彼女
店員に囲まれ、半ば強引に無理矢理、服を脱がされた
「小さいけど、
華奢でバランスいいし。
可愛いわ」
まるで弟にでも見立てたみたいに
満足そうに頷いて……
あっという間の状況に、唖然としてしまう
着なれないタイトなパンツに、ベストとシャツ
制服以外に、タイなんて付けたことない
「制服の男の子連れて歩いて、変な誤解されたら困るし?
でも…幼さは隠せないかしらねぇ(笑)」
「あんたな」
「綾子。
ちゃんと名前あるんだから」
そりゃそうだろう、と思いつつ
あまりに普通に接する彼女に、拍子抜けしてしまった…というか
警戒心も、だいぶ薄れていた
「さ、これでいいわ。
ディナー付き合って」
当たり前に繋がれた手
彼女のペースに巻き込まれながら、
可笑しな感覚に陥る
「お気に入りのお店なの。
私、お腹ペコペコ」
ハンドルを握り、
助手席の俺に向けられる
距離感のない笑顔
不思議と強引な行動も不快にならない気がした
ふと思う
1度はセンセが選んだ相手なんだ
だから、
それなりの女性に決まってる