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【M×N】インターホンはお静かに

第2章 夜の影










「おっ邪魔しまーす


彼女ドコだよ~……って…?」





俺と目が合った男が、


あからさまに怪訝な顔を見せる





センセの友達?


男ふたりに女ひとり



そうか…センセが誘いを断るから、彼女といると思って見に来た?


……ってこと?






「潤、
弟なんていなかったよな。

まさかお前、コッチの」





からかうような声は、



"核心"をついてる





一瞬、反応しそうになって、ギュッと掌を握り締めた







「バーカ。余計な事考えんなよ。

生徒だよ」

「なんで生徒が?」




面白がるように詮索して、向けられる視線に


平静を保つので必死だ







「…ちょっと、まぁ…ワケアリなんだよ。

だから、ちょっとココに避難させてる」









センセが咄嗟についた嘘



確かに

一番それが自然だ




恋人には見えない


男だしな


それでも生徒が、ひとりきりで休日に


センセの部屋にいるなんて有り得ない







「なになに?

じゃ、彼女といたんじゃねぇの?」






期待外れの存在に、


今度は、同情の眼差し





「可愛いのに、

苦労してんだ?」





戸惑いながらも、ふいっと視線を反らし


リビングから離れようと、寝室のドアを開けた







背後に聞こえる、勝手な会話は


嫌でも耳に入ってくる









"お前も大変だな。

せっかくの休みにガキの世話してんのかよ"



"ちょっと聞こえるわよ"








……ガキの世話



それから、気付いた



この声は、......あの留守電の女だ







急速に冷める温度


醒める感覚






センセにとって俺は






"隣の猫"

"ワケアリのガキ"




レッテルがなきゃ、

此所にはいれないんだ





パタンと閉じたドア


背中を付けたまま、ズリズリと滑り


冷たい床に座り込んだ









今日も


気に入りの柑橘の香りで、部屋は充たされてた







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