第1章 相変わらずな俺ら
Answer
A「お答えします。
案外、あなたが考えるより単純かも知れません」
"何食べたい?"って……
"なんでも"いいんです。
だって、センセの作る料理にハズレなんてない。
"どっか行こうか"って…?
"メンドクサイ"
インドアなの知ってるくせに
ふたりでのんびり、お家じゃダメなの?
"来いよ"って…
"イヤです"
だって、センセが来たらいいじゃないの。
"好きだ"なんて
"知ってる"
だから、付き合ってんでしょ俺ら
"キスしていいか?"って
"なんなの?"
したらいいじゃん。
いちいち聞かれたら恥ずかしいっての!
"愛してる"って
"「……」"
不満な顔してるけどね?
高校生のガキに、そんなの言わすな!
睨まなきゃ、自分を保てない。
だけど……
何も言わず抱き締められたら
どうにか応えなきゃって、必死なのに
"抱きたい"って、耳を舐めてくるしさ!
ギュッとシャツを手繰り寄せて、精一杯のアピール
ガキの気持ちなんて
経験豊富な大人にわかるか。
ましてや、相手が男(センセ)なんだからさ?
クラスの男子に聞くにも聞けない。
初めてのことばっかで、正解なんてわからない。
身体中に這う、センセの掌と舌が気持ち良くて、
感じてしまうのが、ちょっと悔しい。
だけど……
普段生意気な分、
こんな時くらいいいかなって。
「ね?……センセ?」
「ん?」
重ねた身体を、少し浮かしたセンセと、目線がぶつかる。
「好きだよ。
センセは?」
「知ってるんじゃなかったっけ?」
「……」
あ~…言うんじゃなかった!
ヤダヤダだから大人は!
恥ずかしいのを隠そうと、シーツを手繰り寄せたけど
「好きだよ。
愛してる」
……って、
言うなら、最初から言えや!
でも、さ?
惚れてしまったら負けだ。
結局、すべてが
愛おしい。