第2章 夜の影
「だからっ、
無理だって言ってんだろっ」
ソファーに転んで、
眺めてたテレビから目を離し
思わず背もたれから顔を出す
かかってきた電話を持って、部屋の隅に行ったセンセは、
途端に苛立ちの声を上げた
「今からなんて無理!」
……なんだろ
誰かに、誘われてる?
「だからさっ無理なんだって!」
頑ななセンセに、
相手も相当粘ってるね
じぃ…っと見守ってると、
俺に気付いたセンセが、空いた手を顔の前に上げて
"ワリィ"って唇が動いた
俺は、首を横に振って
"行って来たら?"と声にしないで応える
今日は日曜日
練習試合の疲れを取ろうって、監督のハカライで休みになった
センセもオフだから、
昼からダラダラ過ごしてて……
買い物でも行こうかと提案するセンセに、曖昧な返事をしている所だった
「ったく、いつも急だからさ……」
ブツブツ言いながら電話を切ったセンセは、
俺の隣に座ると、
"…で、どうしようか?"
と笑顔で切り出す
特に用もないのに、
ブラブラすんのは好きじゃない
いい加減、わかって欲しいんだけど
「ね、ココで、
ゆっくりしようよ」