第2章 夜の影
"ツー…"
「ん…っ…」
いつの間にか寝てしまってたみたいだ
部屋に響いた機械音に、目が覚めて
虚ろな意識のまま、
ソファーから起き上がる
「センセ……?」
掛かってきた電話は
そのまま、留守電に切り替わって
知らない声が響いた
"潤、今日はありがとう。
こっちの番号も、あの頃と変わってないのね"
言葉に混じる笑い声
大人の、落ち着いた声
俺の知らないセンセの過去
"またゆっくり、ご飯でも行きましょう"
"幹事が仲良かったヤツでさ…"
……そうゆうことね
ハッキリ覚めた意識が余計な事ばかり考えさせて……
この前、センセのお母さんが来た時だって……
そんなことばかり考えたって意味なんてないのに、
ダメだ
今、センセに会ったら俺、ツマラナイ事を聞いてしまうかも知れない
何にも知らない、
我が儘なガキでいたらいいのに
こんな雨でも、
きっとセンセは帰ってくる
逃げるみたいに部屋を出た
荒れた天気は俺とおなじ
真っ暗で何にも、先が見えない