第13章 鉄の処女
フォウは取り乱していた己の心を律すると、消えかけていた古の盾を再び強固なものにした。
侵入を許さぬ古の盾を前に、断罪の槍は黄金の光を辺りに散らしながら消え果てた。
「……ちっ!」
あと少しだったのに。
寸前で気持ちを持ち直したフォウに、ゼロは舌打ちをした。
「ゼロ姉様に私は倒せない!」
「それはどうかな、鉄の処女ちゃん?もったいつけてるのか?それとも、近侍が勃たないのか?」
「な……、なにをっ!?」
明らかに、フォウが動揺を見せた。
適当に言っただけだが、まさか……ビンゴとは。
ゼロは口角を吊り上げた。
「あーあ、可哀想なフォウ、君じゃダメなんだよ……彼の主は、君じゃない」
「やめて、やめて……そんなこと言わないで、言うなぁぁぁぁうぅぅっ」
ゼロは刀を握りしめたまま両手を掲げる。
すると、再び断罪の槍が空に現れるが、無数の槍は一つの塊となり、巨大な槍へと姿を変えた。
次は、確実にその盾を貫くために。
「やめてゼロ姉様ぁ!」
「やめない、殺す!いい加減そこから出て来いっ!フォウ!」
ゼロは気合と共に、刀を振り下ろす。
巨大な槍は稲妻のように光り、轟音を響かせながら古の盾を貫いた。