第13章 鉄の処女
ゼロとフォウは互いに向き合う。
ゼロの前に立ち塞がるのは、何人たりとも侵すことのできない古の盾。
翠の光を放つ壁ごしにゼロはフォウを一瞥した。
「歌仙と山姥切は一期一振を、二人を出来るだけ引き離すんだ」
「わかった」
山姥切は鯉口を切ると、猛然と一期一振に迫る。
「斬るっ」
山姥切の鋭い突きの攻撃を、一期一振は太刀で弾き上げた。
刀を引き、山姥切が構え直すが、一期一振は一瞬の間もなく山姥切に斬りかかる。
「ふっ…………」
掛かった。
山姥切が鼻で笑うと、彼の背後から歌仙が入れ替わるように飛び出し、袈裟掛けに刀を振り下ろした。
「っ!?」
一期一振は咄嗟に左腕で庇いながら身を引くが、歌仙の刃はその左腕を掠った。
「痛くはないな」
左腕を一瞥すると、血が滲むのも構わず、一期一振は太刀で斬りかかった。
だが、歌仙はこれを難なく刀で受け止め、押し返す。
「悪くない太刀筋だ。敵にするには惜しい」
「之定にお褒め頂くとは……思ってもいませんでしたよ」
一期一振は痛みを堪えながら後ずさると、横目でフォウへ視線をやる。
山姥切達に気をとられている間に、彼らの思惑通りフォウと離れてしまっていた。