第13章 鉄の処女
飛空艇を港に停泊させ、補給をしていたフォウ達だったが、ついにゼロ達に追いつかれてしまう。
「とうとう……やってきたのね。ゼロ姉様」
フォウは真正面から向かってくるゼロの姿を見ると、もう逃げ切れないことを悟った。
彼女は懐から短刀を取り出すと、ぎゅっとそれをを握りしめる。
「待たせたな!散々逃げ回りやがって……今死なせてやるから、そこで待ってろよ!」
「私、ゼロ姉様とは戦いたくない……」
「あぁ!?」
「強くて美しいゼロ姉様に、ずっと憧れてきた!姉妹で殺し合うなんて、悲劇よ!」
涙目で訴えるフォウをゼロは一瞥すると、勢いよく飛空挺へと走り出す。
山姥切達もそれに続き、飛空挺へと降り立った。
「ふざっけんなっ!こっちは死ぬほど寒い思いして来たんだ。殺してやるから覚悟しろ!」
「いやだ、いやよ……いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
フォウが数歩後ずさり、叫ぶ。
その叫び声は空気を振動させ、翡翠色の光がフォウから放たれた。
すると、後ろに控えていた近侍の刀剣男士がフォウの前に立つ。
「第四の審神者、フォウ。山の国治めたる審神者に許されし力、古の盾。主を守る、最強の盾となって、穢れし審神者から護りたまえ!我が主、フォウ様の為に、一期一振、参る!」
翠の光は、やがて三角錐の型になり、フォウを囲んだ。
彼女がそこから出ない限り、フォウに斬りかかるどころか、触れることすら叶わなくなる。
「あれは……古の盾、面倒臭い力を使いやがって……やってくれるなあっ!フォウッ!」
「古の盾か、何か策はあるのかい?ゼロ」
あの盾を打ち破る方法があるのだろうか。
ゼロの顔をうかがう歌仙を横目に、ゼロは不敵に笑う。
「あの壁は、刀では太刀打ち出来ない、あれを破るには……」
「破るには?」
「落ち着いて戦う。これしかない」
「は?」
相変わらず、ゼロの話は大雑把すぎる。
歌仙のこめかみに青筋が浮かんだ。