第11章 山の国 Ⅲ※※
「あっ、ふ……、山姥切、目を……閉じるな」
ぼんやりと目を開けると、ゼロの視線とぶつかった。
普段の緊張感のある表情とは違った、女性らしい顔。
頰を赤く染め、彼女の唇から漏れる、艶のある吐息。
「っん、……ゼロ」
そのどれもが、山姥切を惹きつけた。
海の国で共に過ごした時には見なかったものだ。
そう思うと、山姥切はゼロと隠れ家で過ごした最後の夜を思い出す。
あの夜初めて触れたゼロの体は、とても温かくて、柔らかかった。
「あぁっ、な……急に大きく、するなっ」
急に膣内で質量を増す山姥切の昂ぶりに、ゼロは堪らず抗議した。
けれど、口ではそう言っているものの、ゼロは満足そうに微笑む。
疼く奥を、我を忘れるほど、突き上げてもらいたい。
ゼロはそんなことを考えながら、体をより一層熱く滾らせていった。
「ふ、ぁっ……んんっ」
ゼロは自分の気持ちのいいところにあたるよう、腰を上下に揺らす。
「ん、ぁ……っ!」
山姥切は体の奥から湧く愉悦に、眉根を寄せた。
体を動かせない程の痛みの中、最初は戸惑うことしか出来なかった山姥切は、今では痛みも消え、ゼロに与えられる感覚に夢中になり、無意識に腰を揺らしていた。
ぐっと突き上げると、ゼロの感じる部分に触れたのか、体を貫く強い刺激に、ゼロは甘い声を零す。
「ん……っ、随分乗り気になったな、自分で腰を振っているの、気付いているか?」
ゼロに指摘される前に、自分でもわかっていた。
この行為を躊躇っていた自分が、今では溺れていることに。