第11章 山の国 Ⅲ※※
「エンド、じゃねえよっ!」
雪の中から手を突き出し、ゼロが這い出る。
「……はぁ」
だから、大きな声を出すなと言ったのに。
雪山はちょっとした振動でも雪崩が起きやすいと。
同じく雪の中から雅に這い出た歌仙は肩をすくめ、ため息をついた。
「やれやれ、酷い目にあったね……誰かさんのせいで」
「知るか……ったく、ここはどこなんだよ。神殿は……」
ゼロは辺りを見回すが、視界に入るのは雪。雪。雪だらけ。
だが風も雪も止み、太陽の光が差していた。
「おいっ!あれ……」
ゼロ達がいたところから、わずかに離れた場所。
太陽に反射して、光る何かが雪から突き出ていた。
「あれはっ!」
雪から突き出ていたのは、刀。
「……っ!?まさかっ!!」
ゼロが一目散に走り出す。
「山姥切っ!」
刀が突き出ているところに駆け寄ると、手で必死に雪を掻き分ける。
その刀は山姥切国広だった。
「おいっ!そこにいるのか!?山姥切、おいっ!!」
何度も、何度も雪の中に手を差し入れる。
赤くなり、痛くなっても、ゼロはその手を止めようとはしない。
「……山姥切っ!!」
雪に埋もれる山姥切を見つけ、歌仙が彼の体を引っ張り出す。
山姥切の体はすっかり冷え切っていた。
「……生きて、るのか?」
ゼロが山姥切の呼吸を確認すると、弱々しいものではあるが、微かに息はしていた。