第10章 山の国 II※※
野営した翌日は、日が昇る頃に焚き火をしてしていたところへ集まることになっている。
ゼロはいつも通りに身支度を済ませて行ったが、そこには山姥切国広の姿はなかった。
「まだ寝ているのか?歌仙、呼んでこい」
歌仙は仕方ないという表情をすると、山姥切が好みそうな場所を探しに行った。
「山姥切が寝坊なんて珍しいね。歌仙がするならわかるけど」
「清光、もしかして……」
「拗ねてないよ。けど、昨夜はお盛んだったようで」
十分過ぎるほど、拗ねている。
「清光……」
「わかってる。わかってるよ。ゼロには俺だけじゃダメってことくらい」
加州の悲痛な声に、ゼロは何と声を掛ければ良いか、わからなかった。
何も言わずに、そっと加州に触れる。