第10章 山の国 II※※
夕食を終え、焚き火を消すと、それぞれが寝心地の良い場所を探しに行く。
夕食の間、一言も言葉を発する事のなかった山姥切は、恐らく遠くにいるのだろう。
近くにはその気配を感じなかった。
「ゼロ、寒いなら僕が暖めてあげようか?」
主の気配を感じ取れる歌仙は、たとえ闇の中でもゼロの居場所がわかる。
愛刀を手に、寒そうに丸まっているゼロの姿は、普段よりずっと女らしく見えた。
「疲れていると、言ったはずなんだけどな」
気怠そうに体を起こすゼロを、歌仙は後ろから包み込むように抱き締めた。
「女性は体を冷やしてはいけないよ。ほら……」
思っていたよりも華奢なゼロの体に、歌仙は息を呑む。
「すっかり冷えているね、暖めてあげるよ」
歌仙はゼロの耳元で囁やくと、ゼロの胸に触れる。
ゼロは抵抗する様子はなかった。
衣服の上から胸を掴み、厭らしく胸を揉みしだく。
だが、指が食い込むほどの膨らみはゼロにはない。
「……っ」
ゼロが吐息を漏らすと、不意に激情がほとばしり、歌仙はゼロをかき抱く。
彼女の首元に顔を埋めると、ゼロの香りが満ちる。
嗅ぎ慣れないはずなのに、知っている香り。
それは、歌仙をより熱く昂らせた。
ゼロの帯を解き、露わになった彼女の首筋に口付ける。
同時に舌を這わせれば、歌仙の熱がずくんと疼いた。
「僕は主の、ゼロの力に飢えているんだよ。君の側にいると、君と交わりたくて堪らなくなる」
「……そんな風には見えないがな、ちっとも」
両方の乳房を弧を描くように揉み上げ、頂きを指先で擦る。
甘い刺激に頂きがピンと尖ると、歌仙は気分を良くした。
「それなら今宵、僕がどれだけ君に飢えているか、証明してあげようか」
歌仙はゼロと向き合うと、彼女の胸に視線を向ける。
前の主と比べるのは良くないが、豊満とは言えないゼロの乳房に、歌仙は一瞬だけ面食らう。
「それ以上凝視したら、斬り殺す」
歌仙の視線に気付いたのか、ゼロは恐ろしい形相で刀に手を伸ばす。
だが歌仙はその手を静止すると、ゼロの胸下に顔を埋めた。