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裏切りの女神R18G【刀剣乱舞×DOD3】

第9章 山の国 I


力任せに刀を振るう相手に負けるはずがない。
その考えが歌仙に油断を生じさせた。
次の一刀を歌仙は刀で受けようとしたが、大柄な男は鼻先で笑うと刀を回して歌仙の脇腹を薙いだ。

「くっ、人間め……仕置きが必要だな」

脇腹を斬られ、歌仙は苦痛に顔を歪ませながら刀を構え直す。
その表情は鋭く、殺気に満ちていた。

「首を……差し出せ」

風のように男に向かって跳び、音も無く斬りつける。
男は悲鳴を上げ、血潮を撒き散らしながら倒れた。

「歌仙っ!」

異変に気付いたゼロは、目の前の兵士をいとも容易く倒すと、歌仙に駆け寄る。
歌仙は脇腹に手を当てると、短い呻き声を上げて片膝をついた。

「斬られたのか?」

「あぁ、困ったね……思ったより深手だったようだ」

脇腹を斬られ、着物に血が滲んでいる。

「……ゼロ、まさかこのままでいさせるつもりではないだろうね?」

苦痛に顔を歪ませる歌仙に、ゼロはふっと笑みを浮かべた。

「無作法者に手入れしてもらいたいのか?」

「根に持ち続けるのは雅じゃないな」

とぼけた顔で歌仙が言うと、ゼロは歌仙の頬を撫でる。

「その顔、苦痛に歪むお前の顔、嫌いじゃないよ」

頰を撫で、顎を掬い上げるとゼロは微笑む。
歌仙の体を引き寄せると、ゼロの柔らかい唇が歌仙の唇に触れる。

ゼロの舌が歌仙の唇を割り、舌が挿し入れられる。
ねっとりとした舌が歌仙の舌を捕らえ、ぬるぬると擦り合わされる。

「歌仙……」

口付けの合間に名を呼ばれ、歌仙は背筋がゾクゾクとした。
心を揺さぶられるような、ゼロの声。

「ん……っぁ」

体の芯が熱くなる。
ゼロから与えられる甘美な感覚に、歌仙は戸惑った。
この感覚を、知っている。
歌仙は何故か、そう感じたのだ。

もっと触れ合えば、思い出せるかもしれない。
そう思ってゼロの肩に手を伸ばすと、ふわりと香る花の香り。
嗅ぎ慣れない香り。でも、知っている香りだ。

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