第8章 借りを返しに
ひたすら兵士達を倒していくと、何もない海岸にたどり着く。
神殿に続く道はおろか、兵士すらいない。
「なんだよ、何もないじゃないか……くそ、騙されたか」
悪態を吐き、今来た道を引き返そうとするが、門が閉まる。
すると、目の前の海岸から、ゼロの身の丈の五倍はある人型の生き物が現れた。
「でかっ!?なんだ、あれ……ギガース?」
「なんだっていい。私の邪魔をする奴は、皆殺しだ」
「油断するな、そいつは強い……」
山姥切は上段に構えると、海から上がってくるギガースが間合いに入るのを待つ。
だが、ゼロはのろのろ動くギガースを待ってなどいられない。
「チェストぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ゼロは大きく跳躍すると、凄まじい勢いでギガースを斬りつけた。
その一撃、稲妻の如し。
ギガースは血潮を撒き散らし、首を斬り落とされていた。
「ふぅ、こんなザコでなんとかなるとでも……」
「ゼロ!危ないっ!!」
命尽きる寸前、ギガースは首だけになった状態でゼロを喰い殺そうと彼女に襲いかかる。
仕留めたと油断していたゼロは反応が遅れ、構えるのが一瞬遅れた。
刀を一閃させたが、刃はギガースの甲冑に当たり、キンっと音を立てて弾かれる。
「ゼロっ!!」
喰われる。
そう思った瞬間、頭上から山姥切がギガースの頭を押さえつけるようにのしかかった。
山姥切の刃はギガースの頭を突き刺し、そのまま地面に突き刺さった。
息絶えたギガースの体は塵となって消え、ゼロの脚の間に突き刺さった刀だけが残る。
「おい、大丈夫か?」
「……お前のブツが、私のアレに突き刺さりそうになったこと以外はな」
「減らず口が叩けるなら、大丈夫だな」
山姥切は顔をほんのり赤らめながら。突き刺さった刀を抜く。
すると、目の前にある海の中から遺跡が浮き上がり始めた。
「ゼロ、見て!なんか、浮いてきたよっ!!」
「お迎えされてるってことか。楽しみだよ……ファイブ」
浮き上がってきたのは、石造りの橋。
その橋は、海を挟んだ向こう岸にある神殿へと続いているようだった。