第8章 借りを返しに
斬っても斬っても、次々と兵士が現れキリがない。
「死ね、死ね、死ね、死ねっ!!」
「ファイブ様のために死ねるなら、本望だ!」
「ふーん。じゃ、死んでよ」
相変わらず、疲れ知らずなゼロだが、加州は違ったようだ。
最初は上機嫌だった加州だが、今はゼロが倒した兵士の数に比例して不機嫌度も上がっていく。
「俺、ちょっと疲れてきた」
「清光、弱音を吐くな」
「潮風でベタベタしてやだー」
「文句を言うな」
「……楽しいなー、楽しいなー」
加州が不機嫌になると、いつもこうだ。
ゼロが本気で怒らないとわかっていて、不満を口にする。
そして、その後にゼロがなんて言うのかも、加州はよくわかっている。
「嘘も言わなくていい。あとでたくさん手入れしてやるから」
「本当?やったぁ!おっ手入れ、おっ手入れーっ」
加州は欲しかった言葉をゼロから聞くと、たちまち上機嫌になり、鼻歌交じりに敵を斬りつけていく。
その様子にゼロはふうっとため息をついた。