第8章 借りを返しに
「私の邪魔をする奴は斬る!どけぇぇ」
怒鳴りながら、ゼロは門へと突入し、門番の兵士を一気に仕留める。
門の上にいた兵士達はゼロの襲撃に気付き、矢を放つ。
「ゼロだ!討ち取れぇっ!!」
「審神者の恥じめ!!」
顔色一つ変えずに兵士を斬り倒していくゼロに、弓兵達は罵倒を浴びせるが、彼らの矢はゼロに刀で次々と切斬り払われ、ゼロの体を掠ることすら叶わない。
「ゼロを食い止めろ!」
「ぐっぁ……悪魔だ……」
瞬く間に辺りは、武器を手にした兵士達の怒号で騒然となる。
抜刀した兵士達は、ゼロ目掛けて斬りかかるが、彼女はものともせず兵士達を次々に斬り倒していく。
「ここは通さんっ!全員前へっ!!」
「はっ!全員死ねぇぇぇ!!」
「狂った審神者め……」
門の上へと上がったゼロの前に、ゼロよりもずっと背の高い大柄の男が立ちはだかる。
鋭い眼光を放ち、大太刀を手にゼロに斬りかかるが、それにすらゼロは臆する様子を微塵も見せない。
「ファイブ様は、我らが……っ!」
「おらぁぁっ!お前にも、用はないっ!!」
男が言い終える前にゼロは斬り込む。
ゼロの雷の如き速い斬撃を、男はかわせずその身に受けた。
弾かれたように男の体は後ろに吹っ飛び、辺りに血が飛び散る。
「やぁっ!死ねぇぇ!!」
ゼロの激しい斬撃に、ある者は臆し、ある者は立ち向かってくる。
そのどれもゼロは容赦なく斬りつけていった。
「く……っ恐るべき審神者の力、これが審神者か……」
やがて辺り一面は血に染まり、静寂が訪れた。
「ふぃー、終わり終わりーっ」
「よし、このまま神殿に向かうぞ」
ゼロは刀を一振りし、血を払うと静かに鞘に納める。
彼女は顔についた血を拭うこともせず、ひたすらファイブのいる神殿へと突き進んでいった。