第7章 海の国※
ゼロの手が武具を解き、ネクタイを緩め、シャツのボタンを外していく。
山姥切の鎖骨が露わになり、ゼロは鎖骨をペロリと舐め上げると、舌を這わせる。
「……はっ、ぁ」
ゼロは山姥切の手を取ると、自分の胸に当てた。
ふにっとした柔らかな感触が指先から手のひらへと伝わり、山姥切はその感触に今まで感じたことのないような焦燥感を覚えた。
だが同時に、このままではヤバイと危機感に見舞われる。
「く……っ!ま、待ってくれ!とにかく、待て!!」
「……は?」
山姥切はゼロの肩を掴むと、勢いよく体を引き離した。
ゼロは突然のことに目を丸くして、山姥切を見つめる。
「その、手入れのことはわかった。わかったし、何をするかも何となくわかった。けど、な……」
「けど?私とじゃ不満か?胸の大きさが不満だと言うのなら、今すぐ叩き折るぞ」
「違っ、胸の大きさは……問題ない、全く。むしろ好み……いや、そうじゃなくって!!」
じゃ、何なんだ。
ゼロは苛立ちながら、山姥切を睨みつける。
「俺にも心の準備ってものが、ある……から」
「…………」
まさか、とは思ったが。
山姥切のこの反応。
ゼロはピンときてしまった。
だが、あえて聞くか悩んだ。
普段は思ったことをすぐに言ってしまうゼロだが、これはデリケートな問題だ。
「あーと、その……なんだ。お前はその……」
「言うなっ!改めて言うなっ痛……っ!?」
慌てながら後ずさる山姥切は、自分の布を踏み、態勢を崩して後ろへとたおれこむ。
だが、倒れた先が悪かった。
山姥切はテーブルの角に頭を強打し、意識を失ってしまった。
「おい……冗談だろ?」
薄暗い室内の中、ヤル気満々だったゼロと、それに臆した山姥切国広。
ゼロは深い溜め息をつくと、山姥切を寝台へと運んだ。