第7章 海の国※
「それとこれに、何の関係が……」
「そうか、お前は知らないのか。刀剣男士は審神者と触れ合うことで、その傷を治すことが出来る。それが、手入れだ」
「な……え?触れ合う……だと」
手入れ、という言葉を山姥切は初めて聞いた。
傷を負ったら、その辺に生えている薬草で手当てするか、時間はかかるが自然に治るのを待つだけだった。
「そうだよ。現にほら、お前の手の甲の傷、治っているだろう?」
手の甲に視線を移すと、確かに傷が消えていた。心なしか、体の痛みも和らいでいる気がした。
ほんの少し触れ合っただけで、こんなにも早く治るのか。
山姥切は目を疑った。
「今までは薬草などを使っていたようだが、本来ならそんなもの、必要ないんだ」
ゼロはテーブルの上に視線を移す。
きっと、テーブルの上のそれらが何かも彼女はわかっているのだろう。
山姥切は、自分が情けないと心の中で舌打ちした。
「深く触れ合えば、傷の治りも早い。来いよ、野良猫」
「ちょ、ちょっと……ちょっと待て!!深くって……深くってなんだ!?」
ゼロは山姥切の頬に手を添えると、頬についた傷を指先でなぞる。
彼女のヒンヤリとした手が頬に触れ、山姥切の体に不思議な痺れが走る。
すると、頬の傷はすっと跡形もなく消えていた。
「……っ!」
山姥切が何か言いかけるのを、ゼロは唇を彼の唇に押し当てて封じる。
「……んっ」
唇を喰み、強引に山姥切の唇の間に舌を挿し入れた。
口内に舌を這わせ、抗おうとする山姥切の舌を捕らえる。
じっくりと舌を絡ませると、山姥切の体がビクリと震え、ゼロは口付けながら彼が纏う布の内側に手を伸ばした。