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裏切りの女神R18G【刀剣乱舞×DOD3】

第7章 海の国※



「おい、今話してかまわないか」

ドンドンと、遠慮なく扉を叩く音が部屋に響く。
正直、今はゼロと会いたくない。
そう思っていた山姥切は、ほんの少しだけ扉を開け、さっさと用件を済ませようとした。

「……なんだ?」

「なんだじゃない、こんな時間に私を廊下に立たせて話す気か?もう少し扉を開けろ」

ゼロは強引に扉を押し開くと、後ろ手に扉を閉める。
彼女の強引さも、口が悪いのも相変わらずだが、今はタイミングが悪い。
山姥切はテーブルの上に広げていた何かに布を被せた。

「話があるなら明日にしろ、俺は今……忙しい」

お互いに向き合うが、山姥切はゼロから目を背ける。
室内は蝋燭の灯りだけだったが、それでも山姥切が所々に負傷しているのは一目でわかった。
だが、ゼロは敢えて負傷の理由を聞こうとはしない。

「私達は明日ここを出て行くよ。だからもう、お別れだ」

ゼロの言葉を聞いた瞬間、彼女を見る。
山姥切の表情は落胆したような、安堵したような、どちらとも言えない表情だった。

「……傷は、もういいのか?」

「あぁ、お前には世話になった。だから今夜、これまでの借りを返そう」

ゼロは山姥切の方へ歩み寄ると、その手を取る。
手を絡ませ、優しく撫でると、手の甲にそっと口付けを落とした。

「……っ!?な、なにをするっ?」

あまりの唐突な出来事に、山姥切は慌てふためく。
慌てて手を引っ込めると、ゼロはワケがわからないような表情を山姥切に向けた。

「なにって、手入れだよ。お前、毎晩出掛けては私の追っ手を狩っていたのだろう」

「なっ、お前……気付いて」

「毎晩傷だらけで帰って来れば、嫌でも気付くさ」

山姥切は視線を泳がせる。
だが、それが一体何故、ゼロが手の甲に口付ける理由になるのか、山姥切にはワケがわからなかった。

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