第5章 裏切りの審神者 ここから本編
ゼロと鶴丸、双方の刃が噛み合って鋭い音をたてる。
「いいねぇ……だがこっちががら空きだぜ!!」
鶴丸は刀を回してゼロの刃を振り払うと、身をかがめてゼロの足元を狙った。
「っつ!?くっ……ぁあっ!!」
ゼロは左足を斬りつけられ、その場に崩れ落ちる。
立ち上がろうとするが、力を入れれば傷口から血が滴り落ち、同時に大きな痛みを伴った。
ゼロは傷口を手で押さえながら、苦悶の表情をうかべる。
「殺せ、鶴丸」
ワンが鶴丸に、ゼロを殺せと命じると、鶴丸はゼロの首筋に刀を突きつける。
そして、彼女の首を斬り落とそうと刀を振り上げた。
「さあて……こんなとこで死ぬんじゃ、驚きも何もないよなあ!」
「ぐっ……ああああぁぁっ!!お前ら…………死なすっ!」
苦悶の声が絶叫に変わり、ゼロは刀を力強く握りしめる。
渾身の力を振り絞り、ゼロは再び立ち上がると、振り下ろされそうとしていた鶴丸の刃を刀で受け止める。
「っ!?」
「こんなとこでっ!終われない……終われないんだよっ!!私はっ!!」
力任せに鶴丸の刃を押し返すと、ゼロは後ろに飛び退いた。
だがそこは足場も悪く、地面に亀裂も入っている。
少しの衝撃で、今にも崩れ落ちて下へ落ちてしまいそうだ。