第5章 裏切りの審神者 ここから本編
「何があったの?辛いことがあるなら、私たちに相談してよ!姉妹じゃないの!!」
「相談ね……君たちにお願いすることがあるとしたら、それは一つだけ。さっさと、死ね!フォウ!!」
短刀を構えてはいるが、本気で殺し合う気のないフォウをあしらうのは造作も無い。
ゼロはすっと間合いを詰め、フォウの襟首をつかんで一気に引っ張る。
あっと思った時には、フォウは投げ飛ばされていた。
「ゼロ姉様、そんな……っ」
ゼロはフォウを軽くあしらいはしたが、勢いをつけすぎたせいか、体が少しだけよろめいた。
すると、背後からファイブの槍がゼロの脇腹をかすめ、穂先がゼロの袖を切り裂く。
「あーらあら。ゼロお姉様ともあろうお方が、妹にヤラれてしまうの?」
「どこに目をつけているんだファイブ」
袖口を裂かれはしたが、ゼロは傷一つ負っていない。
ゼロはファイブの言葉に苛立ちを覚えた。
そもそも、ファイブのことは言動も見た目も、とにかく苛々させられるのだ。
「はぅん!相変わらず負けず嫌いですこと。そこが、好・きっ」
「君と喋っていると、頭痛がするよ」
「あーら大変。わたくしの大きな胸でお眠りください。と、言いたい気持ちは山々ですのに……戦うしかないこの運命。わたくしは本当に呪いますわ」
ファイブが槍を突き上げるたび、彼女の胸が揺れる。
嫌でも視界に入るファイブの大きな胸は、ゼロにとって目障り極まりない。
「うざったいんだよ、それっ!!」
ゼロは正眼の構えをとると、ファイブの胸元目掛けて突きかかった。