第5章 裏切りの審神者 ここから本編
「今日ここで死ね!この馬鹿力がっ!!」
トゥが刀を大きく振り上げると、ゼロは避けようとせず、居合を放った。
稲妻のような居合斬りがトゥの腹部を横薙ぎし、トゥは悲鳴をあげて倒れた。
同時に、ゼロは間近に迫っていたスリィの刃を鞘で受け止める。
「籠の中の鳥は、籠から出ても幸せにはなれない……。飼い慣らされた鳥に、自由なんて……うふ、ふふふふふ……」
「相変わらず、何言ってるかわからないよ、スリィ」
「いっそ、死んでしまえばいい。うふっ、うふふふふふ……」
スリィは笑いながら、容赦なくゼロに斬り込む。
幾度も繰り出される激しい斬撃を、ゼロは難なくかわす。
「考えが暗すぎるんだよっ!スリィっ!!」
身軽なスリィは、ゼロのように速い動きが厄介だが、彼女は長ったらしい髪が邪魔なせいで、戦いの最中に何度も顔を振る。
ゼロはスリィが顔を振る一瞬の隙を見逃さず、一気に踏み込んで斬りつけた。
「面倒くさい。さっさと死ね!」
ゼロの光の如く早い一閃に、スリィは弾かれたように後ろへ倒れた。
「うふ、ふふふふふふふ……」
勢いよく倒れてもなお、スリィは笑いながらすぐに起き上がる。
正直、気味が悪い。
すると、今度はフォウが短刀を手に斬りかかってきた。
「ゼロ姉様、目を覚まして!!本当のゼロ姉様はこんな人じゃない!!」