第16章 飛空艇 Ⅱ※※
指先が肩から腕、そして手首までゆっくりと撫でる。
彼女が撫でたところが温かくなっていく。
恐らく、傷が直っているのだろう。
どの傷も、ゼロが言うように大したことないものだった。
けど、確かに痛みはあった。
その痛みが、少しづつ消えていく。
本当に、触れるだけで直せている。
フォウを倒し、力を奪ったからなのだろうか。
そう何となしに考え始めた時、ゼロの手が際どいところに触れた。
指先が胸の頂きに、つんと触れたのだ。
「なっ、おいっ……!」
「悪いけど、手入れさせて貰うよ?」
ゼロが山姥切の胸の頂きの周りを指先でなぞりながら、しれっとした表情で言う。
そして、山姥切の体に馬乗りになった。
「触れるだけで直せるとは言ったけど、何もしない、とは言ってない」
「なっ……!」
騙された。
そう、真っ先に思ったが、不思議なことに嫌な気分ではなかった。