第14章 飛空艇 Ⅰ※※
「私と一緒に来れば、自ずとわかる。だから……私を選べ、一期一振」
幾度も、主の死を見届け、幾度も命を斬り捨ててきた。
そのような罪深い道を、まだ生きねばならないのか。
一期一振は、ゼロの手を取ることを躊躇う。
本当は、もう終わりにしたい。
けれど、ゼロはそれを許さなない。
「一期一振、お前が己を罪深いと嘆こうと、お前の生はまだ終わらない。終われないんだ。私も……」
「私、は……」
どれほど悩もうが、答えは、もう出ている。
ゼロを選ばない。
その選択肢はなかった。きっと、最初から。
「ゼロ様、貴女に……お仕えします。私の忠誠を……貴女に」
震える手でゼロの手を取ると、その手にはめられた指輪に口付ける。
「一期一振……お前との約束は永遠に」
ゼロは悲しそうな顔で小さく呟いた。
けれど、彼女の表情も言葉も一期一振には届かなかった。
一期一振。
この瞬間から、優しい心と屈折した性癖を持つ彼が、ゼロの新たな刀剣男士となった。