第14章 飛空艇 Ⅰ※※
ゼロは一期一振の目隠しを解くと、彼の頰を優しく撫でた。
一期一振は暗闇から急に解放されたせいか、眩しさで目を少し細める。
うっすら目を開けると、彼女は衣服を着たままだった。
対して自分は何も着ていない。
それがとても恥ずかしく、一期一振は顔を真っ赤にした。
「ふふ……君は本当に可愛いね」
ゼロは一期一振の唇を奪うように口付ける。
彼の唇を軽く喰み、舌で舐め上げた。
唇と割って舌を中に入れると、一期一振の舌と強引に擦り合わせる。
その口づけに一期一振が恍惚とした気持ちになると、ゼロはゆっくりと唇を離した。
「ねえ、一期一振。君は、私がフォウを殺したとき、殺してほしいって私に言ったね……」
その言葉に、一期一振はハッとした。
ゼロは帯にさしてあった刀を取り出すと、一期一振に差し出す。
白い鞘に、小さな黒い丸を散らした模様の刀。
それは、フォウの愛刀だった。
「あの場で、君は命を絶つこともできたはずだ。それに、ここへ私が来る間にだって、やろうと思えば出来ただろう」
ゼロのいうことは、もっともだ。
けど、一期一振にはそれが出来なかった。
「一期一振、お前が何故自ら命を絶つことが出来なかったか……知っているよ」
「知っている……?ゼロ様が……?」
何故。
一期一振自身にすら、わからないというのに。
それなのに、何故彼女はこうも自信たっぷりに言い切れるのだろう。
「何故か、今はまだわからなくていい。けど……」
ゼロは左手を差し出した。
彼女の指には、指輪が三つはまっている。
そのうちの一つは、一期一振のものだ。