第14章 飛空艇 Ⅰ※※
「わ……私が……私の体が、男として反応しなかったのです……っ」
恥ずかしさに声を震わせながら、一期一振は言葉を続けた。
「ですから……私は、ゼロ様の望むようなことは、出来ません」
「ふーん……そう」
一期一振にとっては、口にするのも憚られることだったが、ゼロとっては大それたことではないような反応だった。
「ねぇ、一期一振。君は、フォウのこと、どう思ってた?」
「どう、とは?」
「フォウはまだ幼く、どこまでも純粋。君の望む通りの審神者だっただろう。そのフォウを君は、どう思ってたの?」
ゼロの質問の意図が、理解できなかった。
彼女がどのような表情をしているかも分からず、一期一振は困惑する。
「あ……あの方は常に、平和を願っておりました。そんなあの方を側で支え、お守りしようと思……」
「嘘、だね」
一期一振の言葉を、ゼロは遮った。
「守る?大切に?純粋で無垢だったフォウ。彼女が汚されないように大切に、大切に箱にしまって……か?違うだろう?」
耳元で囁かれ、一期一振の胸がドクンと跳ねた。
否、胸が騒いだのは、耳元で囁かれたからだけじゃない。
彼女の言葉のせい、だ。