第13章 鉄の処女
「人格が……戻った?昔のゼロ姉様だわっ!」
「私はどうしたんだ?他の妹達は?どこに?」
フォウはゼロの手を握りしめると、ゼロの顔をさらに近くで見つめた。
ゼロの、困ったように笑う笑顔。
この表情、やっぱり昔のゼロだ。
「もう大丈夫。もう、戦わなくていいのよ……ゼロ姉様。他のみんなも待っているわ」
ゼロが元に戻った。
なら、昔みたいに姉妹みんなで仲良く暮らせる。
そのことが嬉しく、フォウはゼロを抱き締める。
「スリィや、トゥは……?」
「スリィ姉様は森の国に、トゥ姉様は砂の国で元気でやってい……っ!」
あまりに嬉しくてフォウが涙を溢した瞬間、彼女の体に鋭い衝撃が走った。
この痛み、そんな、まさか。
フォウの体を、ゼロの愛刀が貫いていた。
だがフォウは自分の身に何が起きたのか、理解出来ていなかった。
「……情報ありがとう」
ゼロは無表情のまま、突き刺したフォウの体を突き飛ばす。
「ぃ……あ、ゼロ……姉様?」
フォウは腹部を見て愕然とした表情をした。
そこには刀が突き刺さっていた。
この刀は、紛れも無くゼロのもの。
フォウは恐る恐るゼロを見る。
「そん……な、正気になった……んじゃ……」
ゼロは先程とは違い、冷めた表情でフォウを見ていた。