第1章 野宮 暖人
告げられた言葉が深く胸に突き刺さる。
あまりにも無力だった自分…
俺は遊ばれていた上にあっさり捨てられたんだと、あの時はそう思っていた。
でもまさかそんな理由があったなんて…
「ごめんなさい…暖人は何も悪くないのにキツい事言っちゃったわ…」
「………」
「やっぱりダメよね、こんな関係…。あなたにはまだ未来が……っ」
その言葉を聞き終える前に彼女の体を抱き締めていた。
俺と彼女はもう2年も前に終わっている。
今日だって"一夜限りの関係"…そのはずだった。
それなのに…
「んっ…!」
乱暴にその唇を奪う。
そんな話を聞かされて、「そうだったんですか」と納得出来る訳がない。
俺はこの2年間の想いをぶつけるように、彼女の体を押し倒し唇を貪り続けた。
こんな関係をズルズル続けたところで、俺たちに幸せな未来など訪れない。
頭ではそう解っていたけれど…
「俺はまだあなたの事が…」
それから俺たちは週に一度会うようになった。
時にはホテルで…時には俺の部屋で。
会えば必ず体を重ねる程、俺たちは互いに夢中だった。
まるであの頃に戻れたような…むしろそれ以上に燃え上がっていたかもしれない。
「ぁんっ…、暖人待って…シャワー浴びないと……」
「…今日はこのまま抱きたい気分なんです」
「…もぅ……」
今日も例外ではなく俺の部屋を訪れていた彼女。
玄関先で性急にその体を求めれば、少し呆れたような顔をされる。
「…ダメ?」
「…そんな言い方狡い……ダメな訳ないでしょう?」
やんわり彼女の体を壁に押さえつけ唇を重ねた。
その体から漂う香水の匂いに頭がクラクラする。
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