第2章 来栖 龍之介・壱
「昨日散々瞳さんとシたんでしょう?それなのにこんなに大きくさせて…」
「マ、マジでやめろって…」
口ではそう言うが、本当は泉に奉仕してほしくて堪らない。
そんな俺の心の中を見透かすように彼女は俺のモノを撫で続ける。
(仕事なんか後でいい…このまま一度……)
けれどそう思った矢先、不意に泉の携帯が音を立てた。
「…あら残念」と呟いて俺の膝から下りた彼女は、何事も無かったかのように電話に出る。
そして1分程相手と話した後電話を切った。
「社長すみません…お客様がお見えになったのでお迎えに行ってきます」
「…え……おい…」
「…続きはまた今度」
「……、」
意地の悪い笑みを浮かべた彼女は、そう言って部屋を出ていってしまった。
(…アイツ……絶対わざとだろ…)
あの泉が人との約束を忘れる事なんてまずない。
この時間に来客がある事だって予め分かっていたはずだ。
それなのに俺を煽るような真似をして…
(新手の放置プレイかよ…!)
結局俺は、この後独りトイレでヌく羽目になった…
*
「それではお先に失礼します」
「………」
それから数日後の金曜日…
週末の夜は泉と過ごす事が殆どだったが、今日は"先約がある"と言って彼女はさっさと帰ってしまった。
当然彼女との夜を期待していた俺は、約束をすっぽかされたような気分になって…
(何だよ先約って…)
別に俺と泉は正式な約束をしていた訳じゃない。
それでも、俺じゃなく別の人間と会う事を優先させた彼女に憤りを覚える。
…とその時、胸ポケットに仕舞っていた携帯が振動した。
「っ…」
ディスプレイに表示されていたのは、"瞳さん"の文字。
この間会った時に互いの連絡先を交換していたのだ。
まさかこんなに早く連絡してくるとは思ってもいなかったが…
「…もしもし、来栖です」
『良かった…電話に出てくれて』
「……、」
『…ねぇ、これから会えない?私この間のホテルに泊まってるの…』
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