第2章 来栖 龍之介・壱
「でも…少し妬けちゃいますね」
そう呟いた泉が、座っている俺を背後から抱き締めてくる。
「お、おい……仕事中だろ…」
「私たちしかいないんですし、少しくらい良いじゃないですか」
「……、」
仕事中に彼女がこんな事をしてくるのは珍しい。
さっきの言葉通り、瞳さんに嫉妬でもしているのだろうか…
(…つーか元々彼女を抱くよう言ったのはお前だろ)
泉の事は今だに理解出来ない部分が多い。
俺を奴隷扱いしているくせに独占する様子は無い…それは昨日証明された事だ。
けれど…
「いいですか社長…?あなたは飽くまでも私のものなんです。他の女性に心を奪われるなんて許しませんからね?」
「……、」
こんな風に彼女が独占欲を見せるのは初めてだった。
不覚にも"可愛い"などと思ってしまう。
瞳さんに「また会ってほしい」と言われた事はやはり打ち明けられない。
「ねぇ…瞳さんにはどんなご奉仕をしてあげたんです?」
「っ…」
そう言いながら俺の膝の上に跨ってくる彼女。
眼鏡を外しそれを机の上に置くと、ゆっくり顔を近付けてきた。
淡いピンク色の唇を見て思わず喉を鳴らしてしまう。
けれど俺を焦らすつもりなのか、すぐにはキスをしてこない。
「瞳さん綺麗な人ですし…社長も夢中になっちゃったんじゃないですか…?」
「そ、そんな事は…」
「いいんですよ…隠さなくても。社長が誘惑に弱くて自分の欲望に忠実なのは重々承知ですから…」
「ぁっ…」
ズボンの上から股間を撫でられる。
こんな尋問のような事をされているだけで、俺のソコはすでに勃ち上がり始めていた。
これではまた泉にバカにされてしまう。
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