第2章 来栖 龍之介・壱
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「嬉しい…来てくれたのね」
「……、」
結局俺はあの後瞳さんに誘われるがまま、彼女がいるというホテルに来てしまった。
部屋へ入るなり、彼女に手を引かれベッドルームへと案内される。
「まずは乾杯しましょ?」
そう言う彼女が用意してくれたのは高級な赤ワイン。
2つのグラスにそれを注ぎ、そのうちの1つを俺に手渡してきた。
「正直来てくれないんじゃないかって不安だったんだけど……勇気を出して電話して良かったわ…」
「…瞳さん……」
はにかむ彼女が可愛い。
泉の口からは絶対に聞けないようないじらしい台詞だ。
不覚にもドキドキしてしまっている自分の気持ちを隠すように、俺はグラスの中のワインを一気に呷った。
「ふふ…イイ飲みっぷりね」
「…酒には強い方なので」
「そうなんだ……でも…」
グラスをテーブルに置いた彼女が俺の太腿に触れてくる。
そして誘うような上目遣いでこちらを見上げてきた。
「せっかく会いに来てくれたんだもの…今夜はお酒より私を味わってほしいな…」
「っ…」
着ていたシルクのナイトガウンを脱ぐ彼女。
その下に隠されていた姿にごくりと唾を飲む。
「この格好どうかしら…?来栖くんに喜んでほしくて着てみたんだけど…」
「……、」
所々レースがあしらわれた黒いシルクのベビードール。
けれど肝心の乳首の部分は布地が薄く、ピンク色のそこが丸見えだった。
(…エロ過ぎるだろ……)
その厭らしい姿に、当然下半身は反応してしまう。
「今日ここに来てくれたって事は…来栖くんも"そのつもり"だったんでしょう?」
「お、俺は…」
「この間みたいに…私を好きなようにしていいのよ…?」
「…!」
耳元でそう囁かれ、フラッシュバックする彼女との情事。
初めての相手とは思えない程、俺たちのセックスの相性は良かった。
またこの体を味わえる…そう思うと、俺の股間はどんどん熱くなっていって…
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