第2章 いつもと違う
そう。
私の瞳から涙が溢れ落ちたから。
私は、涙を拭いながら、
「 そこまで、笑わなくても…いいじゃん。 」
ポロポロと涙が頬をつたう。
そこで、ハッと気づく。
私が何を考えていたかなんてシカマル君は知らない。
こんな突然泣き出したら…困っちゃうよ。
一歩、また一歩と下がる。
「 ごめんね。先に行ってて…。 」
それだけ言うと、私はそこからアカデミーの方とは逆へと走り出した。
後ろからシカマル君が何か言っていた様だけど聞き取れなかったし、止まりたくもなかった。
だって、こんな泣いている顔を誰にも見られたくない思いと、シカマル君に合わす顔がないから。
しばらく走って行くと、大通りに出た。
朝のラッシュのせいか人が多い。
人々は足早に通り過ぎて行く。
私もその人達の群れの中に混ざって歩き出した。
人を隠すには人の中って言うしね。
( アカデミー、どうしようかなぁ… )
さすがに涙は止まった。
でも、あんな事で泣いておいてのこのこと行けるわけないよ。
我ながら頭を抱えてしまう。
「 はぁ…どうし 」
突然後ろから腕をひっぱられた。
ひっぱられた勢いで後ろを振り返ると、走ってきたのか息を切らせ、汗を額から流すシカマル君だった。
「 やっと…捕まえだぜっ。」
顔といい、オーラといい、とても怒っているご様子。
( ど、ドス黒い… )
背中に嫌な汗が流れる。
私は彼の手を振り払い、回れ右してそのまま走り出した。
いや、走り出したはずなんだけど私の体は走り出さない。
( ⁇ 身体が…動かない⁉︎)
「 影まねの術…成功〜 」
「 ⁉︎ 」
頭の中はパニックになっていた。
でも、シカマル君の術の所為だというのがわかったら安心した…
安心したけど、捕まった。